壊れた親子

目が覚める。まだ目覚ましは鳴っていない。久しぶりに目覚ましに勝ったらしい。

鼻っぱしらが冷たかったが、朝から気分がいい。珍しいこともあるもんだ。

起きて、カーテンをずばっと開けてみた。

そこは相変わらず真っ白な風景・・・。

視界の隅の方でふらふら歩いている朝帰りにオッサンがいたような気もしたが

あえて無視した。

廊下に出る。寒い。

名雪の部屋に目をやる。名雪は絶対に寝ているだろう。

百歩譲って俺が変わった人だということを定義にするならば、名雪がまだ寝ているという

ことは宇宙の大原則並の絶対性をもっていると言えよう。

俺はそんな知的な表現のできる自分の脳に感心しつつ階段を下り、リビングへ向かう。

歩くごとに床の冷たさが伝わり、足の感覚がおかしくなってくる。

「おはようございます、佑一さん」

「おはようございマッスル」

「今日は趣向をかえてロシアンティーです」

俺の小ボケはあっさり流された。

秋子さんは顔色一つ変えない。変えてくれない。

俺は気分はちょっとブルー。

「マ・・・マッスルマッスル・・」

俺は小声でささやかな抵抗を試みた。

ゴトンッ。

「ひっ!」←ちょっとビビった。

「はい、ジャムをどうぞ・・」

無理でした。

俺は仕方なく朝一番の小ボケをあきらめ、ジャムに手をのばした。

ロシアンティー・・・

その名の通り、ロシアなど極寒地方の方々が紅茶にバターやジャムを入れて飲む

温かい飲み物だ。

だがこれはロシアンティーであってロシアンティーではない。

紅茶本来の色を失い、どす黒く、そして奇妙な銀色の具(らしきもの)が浮いていた。

イカ墨ですか?」

「ジャムです」

いっそのことイカ墨だと言って欲しかった。

「主に何が原料なんですか?」

「一応ダシはかつおぶしでとりましたけど」

「それはジャムに必要な行程なんですか?」

「たきこみジャムごはんの応用ですので・・。わりとメジャーですよ(注1)。どうぞ遠慮なさらずに」

・・・・・・。

「なんだか俺、こっちに引っ越して来てから世界観が変わりましたよ、ハッハッハ」

「そう、お友達に影響されたせい?」

”あんたのせいだよ!!”

しかし居候の身分でそんなことを言えるわけなかった。

とりあえず謎茶をグッと飲む。いつもと同じく見た目に反しておいしいのだから不気味だ。

かつおぶしを使ったジャムをどうやったらこんなにおいしくまとめられるのか、

料理の鉄人に聞いても答えは出てこない気がする。

「そういえば、名雪が新しい目覚ましを買ったとか言ってたけど本当に起きるのかしら?」

「ああ、そういえば、なんだか時限爆弾・・・・」

チュドドドドーン!!

「型だって・・・・聞いた・・・・んです・・けど・・」

というより本物だった。

「これならさすがの名雪でも起きるんじゃないかしらね」

秋子さんは顔色一つ変えない。

「つーか永眠しかねないんじゃ・・・」

だが予想に反し、名雪はくすぶりながら下りてきた。

「ふぁ・・おはよう・・今日は暑いね

「いや、つーか燃えてるやん!!」

「くー」(注2)

「寝るな寝るな!死ぬってオイ!!」

「まあまあ佑一さん、この子も眠たい盛りなんですよ、全く困ったわねぇ」

「あ、え、でも秋子さん!水、水、早く!」

「水だなんておっしゃらずにジャムをどうぞ」

「ありがとうございます」

思わず落ち着いてしまった俺もバカだった。

「って、パンに塗るんじゃなくて、火を消すんですよ!あー、もう名雪、起きろ!」

「くー」(注3)

「ぐわーーーー!!!!なんじゃこの親子わぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「佑一さん、落ち着いて下さいな」

「もういやああああああ!!」

 

終わり

(注1)秋子さんの中でメジャーなのであって一般論としてとらえてはいけない。

(注2)安眠。

(注3)熟睡。

 

コメント:

現時点でKanonは40分くらいしかやってないので、キャラの名前と性格を覚えているのが

この二人だけなので書いてみました。←ゲーム先にやれよ

つーかロシアンティーもたきこみジャムごはんもゲーム中に出てきそうな気がして

ならないんだけど・・。私にはまだわかりません。

これから続きをやろうと思います。うん。


戻ぉぅを  寒いので手がイカレそうです。