黒いホワイトデー

 

「なあ北川よぉ」

「なんだアイビキ祐一」←相沢とかけてるつもりらしい

「やっぱりいいや」

「あっ、オイ冗談だってば!」

北川が腕のあたりをひっぱる。まあ休み時間のお戯れってやつだ。

「・・・なんかさ、テストも終わったけど、だるくねぇか?」

「”だるい”とはボキャブラリー貧困だな。もっと具体的かつ的確な説明は出来ないのか?」

む、ならば男として(?)答えるしかあるまい。俺は軽くせきばらいして答える。

「首筋から上腕二頭筋および頭部、鎖骨下方部分にかけて不快感を覚えている」

「うむ、表現力部門85点」

「何やってるのよ、あんたたち・・・」

香里の呆れ顔つっこみが入る。というより彼女のつっこみが入らないと話が進まない。

ありがたいお姉さんだ、と思う。

「そうだ、相沢、何か用なのか?」

香里に言われて北川が思い出したように言う。

「だからこの不快な状態を打破する何かが俺には必要なんだ」

「ならば友情を確かめあうというのはどうだ?」

北川の提案は相変わらずよくわからない。単純なのか奥が深いのか判断しかねる男だ。

「・・・それですっきりするのか?」

「ああ、俺達は仲間、お互いの気持ちだってわかりあえるということを改めて感じれば気が楽になるさ」

なんとなく北川がかっこよく見えた・・・。

って、何を考えてるんだ俺はっ!!

「じゃ、じゃあ何をするんだ?」

「メロスごっこ」

やっぱり北川は所詮北川でしかないか・・・・。

「でもまあ暇だし、いっちょやるか!」

「おう」

 

メロスはやった、やりとげたのだ。

そして彼は鎖をとかれたセリヌンティウスに近寄り、お互いを抱きしめあった。

「おお、セリヌンティウス!私は一度だけあきらめようかと思った。さあ、私を殴ってくれ!!」

ドキャッ!

・・・・い、いてぇ。奴も相当ストレスがたまっていたと見える。本気で殴りやがった。

「メロス!私も君を一度だけ疑った。さあ私を殴ってくれ!!」

いくぜ、北川(アイコンタクト)

ああ(アイコンタクト)

「うおらあっ!」

ドキャッ!

がたたーん。

「あ・・・やりすぎたか・・・」

北川は倒れてしまった。俺は北川に駆け寄る。

「う・・・いいんだ・・メロス・・・。そうか、白か・・・」

「はぁ?」

何を言っているのかわからない。白?

「白内障か?」

「お前その発想のしかたおかしいぞ、絶対」

「じゃあなんだ?」

「いや・・・・」

北川の、目線の先を追う。

すると、そこは学年一位のお姉さんが立っていた。

「あ、香里。なんでそんなにキレた表情してるんだ?」

「・・・・北川くんがね。ちょうど私の真下にいるのよ。わかる?」

なるほど。要するに、北川は香里の下着をばっちり見続けているということか。

死んだな。

「・・・白、ですね」

「黒のほうがよかった?」

「ま、まあ香里様のイメージとしましては・・・・」

ガズッ!(×20)

 

ありがとう北川・・いや、セリヌンティウス・・。

そしてフォーエバー。

俺と君は心の中でいつまでも一緒さ・・・。

とか思っていたが、香里ラッシュをくらったにもかかわらず、セリヌンティウスはふらふらと立ち上がり、

「友よ!」

ガシッ!←抱き合った。

「おお、顔が腫れて足ガクガクで血だらけになってもお前は永遠の友だ!」

俺達は友の誓いをたてた。

ケガの功名とはこのことだ・・・」

「っていうか功名のあとにケガしてるけどな」

この場合”因果応報”というのではないだろうか。

「とにかく、また機会があったらたのみたい」

「また今度だるくなったらな」

俺達は密約を交わした。友として。男として。

「で、本当に香里の下着は白なのか?」

「ああ、俺の希望としては黒・・」

がごん。

ずるり。←崩れ落ちた。

「ふぅ・・私の知り合いに北川なんて奴、いないわ・・・・」

「・・・・」

学年一位の人って、みんなこうなのだろうか。

だとしたら俺は学年一位なんかいらないや。そう思った。

 

北川をおもくそ殴ったおかげでだいぶすっきりした。

男は拳を交えてこそ友情を深めあえるのだ。(そうか?)

「ゆーいちさんっ♪」

「はーあーいっ♪・・・って気持ち悪いわ北川っ!」

「返事するお前も気持ち悪いぞ」

ノリで返事をしてしまう自分がちょっとイヤです。

「気持ち悪いコンビ結成ね」

「祐一達って実はそういう仲なの?」

香里&名雪の二段攻撃が入る。

「ほら名雪、一緒にいると気持ち悪い仲間になっちゃうわよ。行こう」

「じゃ、先に行ってるね〜」

2人はスタスタと教室を出ていった。次は音楽だったから、音楽室に行かねばならない。

ちなみに名雪の出番は今回これだけだ。悲しいものだな。

「北川、お前なにげに香里に嫌われてないか?」

俺は教室に俺と北川の2人になってから言う。もちろん斉藤もいない。

「俺のどこに嫌われる要素があるんだ」

多分、そのどこからでてくるのかわからない自信に満ちあふれた態度もその一つだと思う。

「やっぱり商店街を全裸で闊歩したのがマズかったな、北川」

「するかっ!」

「あとはシナプスとニューロンの結合速度が異常に遅い上に間違っていることか」

「はっきりと頭が悪いと言ってくれ」

「頭弱い」

「さっきのでいい・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・」

香里がいないのでつっこみが入らない。

「行くか、音楽室」

俺達はなんとなく物足りない気分のまま音楽室へ向かうのだった。

 

「ふっ、今日もまたよくわからないことをしているうちに終わってしまうのか・・・」

「なんか締まりのねぇセリフだな」

「・・・・」

最もだった。

「そういえば、そろそろホワイトデーねぇ」

近くの席の香里がわざと俺達に聞こえるようにつぶやく。

・・・でも俺の場合佐祐理さんも舞も卒業してしまっていて当日に会えない。

佐祐理さんは確か、すげぇ量の手作りチョコをくれたし、舞はチロルチョコを

全種類集めてきてくれたのだが。

ううむ、今度の休みに渡すか。

「北川くんにもあげたような気がするなぁ」

ふりむきもせず帰る支度を続けながらつぶやく。

そして、

「あ、それじゃね」

振り向いたかと思うと一言そういってさっさと教室を出ていった。

「お前、香里にチョコをもらったのか」

「『憐れみよ♪』って微笑みながら」

「義理か」

「ふっ・・・」

いや、しかし俺はもらった覚えがない。それに他の奴に配ったのだって見てないぞ。

「北川よ、お前は香里がわざわざ義理チョコを配るような律儀で人当たりがよくて気配りの出来る女だと思うか?むしろあれで女として正しいのか?

ドカッ!!

「言葉には気ィ付けろや、相沢」

彼の目は本気でした。

「すいません・・・」

さすがに最後のはノリで言ってしまったのだが、北川を前にして言う言葉ではなかった。

「とにかく俺も他の奴らも義理チョコすらもらっていないぞ。なぁ斉藤?」

まだ眠そうに帰り支度をしている斉藤に尋ねる。

「ああ、美坂さんにもらった覚えはないよ」

「ほらな?」

北川の目が輝きだす。わかりやすい奴。

「ってことは・・・」

「お前は香里ランキングで上位にいるということさ、セリヌンティウス!」

「メロス!」

ガシッ!←抱き合った。

「2人ともムダに元気だよね」

斉藤はそういって席を立つ。

「あ、今のは美坂さんのかわりにつっこんどいただけだから、じゃ」

斉藤も教室を出ていった。

「斉藤を、俺達の友として迎え入れたい」

「俺も今そう思っていたところだ」

やはり俺達は心が通じ合っているということだろう。

「あ、そうだ、今日ちょっとつきあってくれ」

「何だ?」

俺達は抱き合ったまま会話する。なんか一気に教室内の人数が減った気がするが。

「ホワイトディのプレゼントとその後の計画」

「その後の計画はやめといた方がいいと思うぞ」

これは親切心で言っている。先のことなど予想出来るはずがない。

というのは佐祐理さんと舞の行動(言動含む)が今だに全く予測不可能であることに

起因しているのだが。

「じゃあプレゼントだけでも」

「ま、よかろう。どうせやることないし、土曜日だし」

土曜日だというのに名雪は香里が帰る前にすでに部室のほうへ行ってしまっていた。

だから部活はイヤなんだ。忙しくて。

佐祐理さんと舞のいない土曜日の放課後なんかに用はない。

俺は北川につきあうことにした。

 

「まずは飯か・・・」

「そうだな・・・」

かなり気合いを入れて商店街へ来たのだが昼食を忘れていた。

「っつーかここしかないじゃねーか」

まともな昼食、それも貧乏学生が手を出せる範囲の店はここしかない。

いちごサンデーがおいしいと定評のある、あの店だ。

からんころんころろん。

何度聴いても、心地よくも悪くもないドアのベルの音をさせながら中へ入る。

しかし入るには入ったが、男2人が、こんなところで食うのか・・・?

「お、奇遇が座ってるぞ」

「日本語話せよ」

北川は俺を完璧に無視し、店の奥へと入っていく。その方向には、

「美坂姉妹発見!」

ちょっと離れた位置から見ると北川ってバカ丸出しだなぁ・・・。

「さっ、栞、バカがうつるからマスクして」

「はい」

なんかすげぇ言われようだし。栞はほんとにマスクしてるし。

仕方ない、加勢するか。

「よっ、美坂姉妹」

「栞、もう一枚マスク」

「はい」

帰ろうかな・・・。

「ちょうど良かった。ここの席座っていいか?男2人だと異彩放っちゃいそうで」

「一緒にいたら私達も異彩の仲間になっちゃうわよ」

「ホガホガ・・」

栞はマスク二枚のため何をしゃべってるんだか聞き取れない。

「ま、そう言わずお願いしますよ」

「・・・・・座ったら?」

好意で了承したというよりあきらめたといった態度だ。まあ無理もないけど。

「あなた達といると栞に悪影響が出ちゃいそう・・・」

「なんか核廃棄物みたいな言われようだなぁ」

さすがの北川でも少しヘコんだらしい。

「あ、そういえばあなた達は何しにきたの?」

「そりゃ、ホ・・・いや、ほ、放射能をばらまきに!」

自分から核廃棄物だと公言してどうする。

「やっぱり高レベル放射性廃棄物だったのね。じゃ行こうか栞」

「ホガ」

やっぱり何を言ってるかわからないぞ、栞。

「あ、美坂っ!」

 

結局男2人が残るのみとなった。

そして、ちょうど店員がやってくる。

「ご注文は?」

ここは憂さ晴らしに小ボケでも(アイコンタクト)

OK(アイコンタクト)

「水っていうのは無しです」

「お湯」(ニヤリ)

「!」

「俺もお湯」(ニヤリ)

「くっ・・・か、かしこまりました・・・」

店員はすごすごと去っていった。

「勝ったな、相沢」

「おうよ」

俺達は勝利のお湯を心ゆくまで堪能した。

 

「っていうかよく考えたら腹ごしらえになってないじゃん!!」

「それは盲点だったな」

俺達は店を出て初めて重大なミスに気付いた。

「しかし今から戻るとあの店員に負けたことになるな。戻ることは許されない」

「ああ、進むしかない」

俺達は歩み始めた。そう、愛ゆえに・・・・。(意味不明)

「よし、じゃあプレゼント買うか」

「どんなのがいいんだろうかね」

「美坂って私生活がどういうものなのか見当がつかないからなぁ」

それだったらもっと見当つかない人を二名ほど知っているが。

「でも意外とああいうのに限って実は非常にかわいらしい趣味を持っていたりするんだぞ」注:男の勝手な妄想です

「そうか、本当の自分を隠しているってことか」注:男の勝手な妄想です

「そしてそれは一番大切な人だけにさらけ出すものさ」注:男の勝手な妄想です

「ならばかわいらしくそしてちょっとアダルティーなプレゼントを!」注:暴走

「そうだ!それがお前の明日だ!」(意味不明)

そうと決まれば行動は早かった。

というより、北川が一人で暴走してしまい、見失った。

まあ、あいつなら一人でやっていけるさ、そう自分に言い聞かせ、俺は帰った。

 

3月14日の放課後。

「み、美坂っ・・・」

「何?お金なら貸さないわよ」

相変わらず手厳しい奴。

「そうじゃなく・・・て」

頑張れ北川。いやセリヌンティウスよ。友はここにいるぞ。

「ホワイトディなんで、バレンタインのお返しにと・・」

なんでそんなに腰が低いんだ、セリヌンティウス。

「・・・・・」

帰り支度をする香里の手が止まる。

「えーっと、これを・・・」

「ありがとう。遠慮なくもらっておくわね」

そういって、北川からもらったものをバッグにしまい、何事もなかったかのように

教室を出ていってしまった。

「・・・・・・アレ?もっと反応があるとうれしかったんだけどなぁ」

「思った以上に手強いな、学年一位は・・・」←関係ない

「確か、美坂さんってシスコンで男にほとんど興味なかったはずだよ」

「おわっ、斉藤!お前がいたことにすら気付かなかったが、本当かそれは!」

後ろの方で声がしたと思ったら斉藤だった。神出鬼没のエキストラキャラである。

「だって、去年は告白されたときとかも全て即答で断ったという神話が・・・」

なんで知ってるんだ、エキストラ。

「しかしそれが本当だとすると・・・」

「メロス!」

「セリヌンティウス!」

ガシッ!←抱き合った。

「今日はあえてつっこまないでおくよ、じゃあね」

斉藤は出ていった。

「・・・やはり俺達に斉藤は必要だ。たとえエキストラでも」

「ああ・・。しかし今はそんなことより!」

「友よ!共に喜びをわかちあおうぞ!」

 

 

次の日、の休み時間

「北川くん、ちょっといい?」

「ん・・・・?」←寝てた

「あのプレゼントは何?」

「ふぅー・・・プレゼント・・・」←寝ぼけてる

「ウサギのぬいぐるみがどうして黒の下着をつけて悩ましげな目で見ていたりするのかしら?」

「そりゃあ美坂のイメージと俺の願望・・・・・が・・・・」←言い終えてから完璧に目が覚めた

「ほう?」

「ってのはまあ冗談・・で・・・」←汗かいてきた

どかっ。(×30)

 

「友よ、俺はお前のセンスを疑うべきであった・・・」

俺はボロボロになったセリヌンティウス(瀕死北川)に涙した。

「おお・・・・たまには友を疑うことも必要だな・・・」

「来年、また頑張ろうな・・・」

「ありがとうメロス・・・」

ガシッ。←抱き合った。

「ふぅ・・・一生やってなさい」

と、香里のつっこみが入ったところでこの物語が終わるのだった。

終わり

 

コメント:

3月12日。あさってはバレンタインより確実に影の薄いホワイトデーの日だなぁ、と思った。

なんかとってつけたような日に思えてならないのは私だけだろうか。

と、まあ、んなことはどうでもいいんですが、今回あえて北川と香里をつかうという

暴挙に出ました。だって、こんなのやったってザイカさんに勝てるわけないのにね。

でも思いつきだけで生きてる私にとって、思いつきをムダにすることは私を殺すのと

同じなので書いちゃいました。

内容は、いつも通り、バカです。はい。


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