全ては・・・手のひらの上で

 

ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ。

「くっはぁ〜、やっぱり風呂上がりはビールですね〜」

「オッサンくさいことこの上ないですね、佐祐理さん」

佐祐理さんは缶ビール(350ml)を軽く飲み干した。舞も、すでに缶ビールを2本開けている。

「祐一、ビールもう一本」

いくら今日の美味しんぼ(再放送)が牛丼だったの、見逃したからってヤケ酒すんなよ。

「っつーかお前らまだ未成年だろー!」

俺が高校3年で、今年18歳になる。要するにまだ2人とも19歳にもなってないはずだ。

「あはは〜。佐祐理はちょっと頭が悪い女の子だから自分の年齢もわからないんですよ〜」

「それはとてつもなく頭悪いです」

「あ、それもそうですねぇ〜。祐一さん、良いつっこみです。どうですか、一杯?」

「いや〜、すいませんなぁ〜。って主人公が酒なんか飲んだら世間体が危ぶまれるからダメです!!」

危ない危ない、ついのせられるところだった・・。

「ふぇ〜、そうなんですかぁ〜。残念ですね〜」

ぷしっ。

佐祐理さんはまた缶ビールを開けた。そして、飲む。

ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ。

「くぅっはぁ〜」(至福)

・・・ゴメン、今かすかに佐祐理さんが憎たらしく思えて来ちゃったよ。

・・・その至福の笑顔を破壊したいと思った俺を許してくれ・・。

「脇役で良かったね、舞」

「主人公は辛いな、祐一」

「よし、祐一さんの分も代わりに佐祐理達で楽しんであげましょう〜♪」

・・・・・本当にゴメン、今すぐぶち殺したい。

「・・・えーっと、すみません佐祐理さん。一発殴っていいですか?」

「後悔しますよ」

主人公には不幸な境遇がお似合い、か。

泣きたい。

「くぅっ・・・俺、勉強するから・・・」

「祐一さん、もっと休憩しないんですか?夕御飯食べてからまだ30分ですよ」

あなたのせいなんですけどね、佐祐理さん。

「・・・そうは言っても、あの名雪でさえ”受験だおー受験だおー”とか言ってるくらいだからなぁ」

本当はそんなこと言ってない。が、佐祐理さんはちょっと真にうけたらしい。

「あの・・その名雪さん、言語障害でもあるんですか?」

そういえば2人は名雪の事知らないんだったな。

「いや、なんつーか俺のいとこなんだけどさ」

「納得しました」

「・・・・・」

佐祐理さんって、確信犯だよなぁ・・・。それもかなり凶悪な部類の。

「じゃあもう名雪の話は終わりでいいですか?」

「でも、祐一さんのいとこならちょっと知りたいですね〜」

「・・私も」

きっとろくでもない理由で知りたがってるんだろうな。顔が全てを語ってるよ。

「名雪ってのは、基本的に寝てて、たまに起きると活動する。普段は何も考えてないからぼーっとしてるし、何のために生きてるのか俺には理解できないような人間だ

「祐一さんが言うと人間のクズみたく聞こえますけど・・」

確かに、自分で言ってて少し名雪が可哀想になってきた。

「しかし一つだけすごいことがあるんですよ」

「なんですか?」

俺は一呼吸おいて、答えた。

「Kanonキャラ人気が、2人より、断然、上ですっ!」(きっぱり)

「佐祐理、もう寝ます・・・」(消え入りそうな声)

「おやすみ、祐一・・」(同上)

「・・・・・そこまでショックですか?」

「あはは〜・・なんて冗談ですよ〜・・・」(ふらついてる)

「顔、青ざめてますけど」

足取りがおぼつかない。あ、テーブルの角に足ぶつけてる。

「まあ祐一さん、今度そういう笑えないこと言ったらぬか漬けにしちゃいますよ〜」

「そして牛丼のつけあわせにするから・・」

本気の目だ・・・。

キャラ人気の話はタブーか・・・。

「っと、俺は勉強をしなきゃならないんだった」

俺は話をそれで切り上げ、部屋へ戻る。

あの全く勉強しなかった北川でさえ、テレビ見ながら勉強してるくらいだから受験とは恐ろしい。

 

俺はとりあえず机に向かい、数学の参考書を開く。

ぱさっ。

「ん?なんだこの紙は・・」

見慣れない便箋が落ちた。明らかに俺のものではない。

・・・これって、もしかすると、ラブレターかなんかの一種だったり?

俺はそんな期待を持ちつつ深呼吸をする。

そしてそれを丁寧に開く。

しかしその紙にはこう書かれていた。

”お前はもう死んでいる。 by 北川”

びりびりびりびりびりびりびりびりびり。←破いた。

残念ながら死ぬのはお前の方だ・・・。

明日は北川の命日ということに決定した。

「・・・さて、気を取り直して、と」

改めて数学IIの複素数平面のところを開く。

 

類題188 (1)|z+1−2i|=|5z+6−4i|を満たすzのえがく図形を求めよ。

 

・・・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

いきなりわからないととてもやる気をなくします。

あなたもそんな経験ありませんか?

・・・・って誰に言ってるんだ、俺は。

「はぁ・・俺ってアホなのかな?」

ぱさっ。

そう思ったときもう一枚便箋が落ちた。

俺は即時それを開く。

”お前はアホだ by ネオ北川”

カチッ。ぼぅうううううううう。←燃やした。

どうやら彼はあとかたもなく消し去って欲しいらしい。

俺は友としてその望みを叶えてやるだけだ。誰にも止められない。

「はぁ、二年のときにちゃんとやっときゃよかった」

複素数平面は、確か1月ごろだったから、ちょうど本番中(Kanonの主人公として大活躍!)の頃か・・。

それじゃ仕方ない。←諦めた

「祐一、さっきから不気味」

「おわっ、なんだ、舞か」

いつの間にやら舞が背後にいた。

「いつからいたんだ?」

「にへらにへらしたり破いたり燃やしたりやるせなくなったりさっぱりしたりしてたあたりから」

「要するに全部見てたのね・・」

「祐一、数学わからないんでしょ?」

「ああ、全く」

「じゃあ教えてあげる」

舞から、意外というか、ある意味爆弾発言とも思える言葉が発せられ、おかげで俺は鳥肌が立ってしまった。

っつーか簡単に言えば、無理だ。

「・・・・」

ざくっ。←斬った。

「舞、つっこみソードはやめてくれって言っただろ・・・」

「不快な電波を受信したから・・・」

だから電波はやめろ、違うゲームになるだろ。

「相変わらず世界で1,2位を争うほどの動物的な勘してるなぁ、舞は・・・」

「誉め言葉として取って欲しい?それともけなしてる?」

「ご想像におまかせします」

ざっしゅー。←斬った。

「なぁ、舞。お前ってほんっといい勘してるよな」

「祐一もいい根性してるよな・・」

「口調真似すんなよ」

「・・・」

俺は血をだらだらと流してはいたが、主人公という立場上、死ぬことはないのでほうっておく。

「それで、本当に教えてくれるのか?」

「少しくらいなら」

「だと思った。舞が数学すーらすら出来てたら俺なんかハーバード現役で受かってるぜ」

ごきっ。←みねうち

主人公でも三連続は危険かなぁ・・。

「とにかく、この問題なんだけどさ」

「・・・・ふっ」

「今、鼻で笑ったろ」

「祐一の頭はぽんぽこタヌキさん」

「悪かったなぁ・・・」(本気でムカついてきた)

学校で剣振り回してたような輩に言われたくない。

「へっ、どーせ俺は北川と並んでバカ免許皆伝でバカ師範代なんだよ。ケッ」(グレた)

あんまりムカついてきたので俺は舞を部屋から追い出そうと思った。

「でも、祐一は数学が出来ない方がいい」

「バカにしてるのか?」

「そうじゃなくて・・」

「じゃあどうなんだ?」

数秒間があいて、舞は訥々と口を開く。

「あまり、いろいろ出来ると、近寄りがたくなるし」

「?」

「私なんか相手されなくなるから」

「何だ、俺に遠慮するってのか?」

「私は、何も出来ないから・・嫌いになる」

舞がうつむいて真剣に言うもんだから、つい可笑しくなってしまった。

「あははははっ、んなことないって。余計なこと心配してるとハゲるぜ?」

「ハゲたら嫌いになる?」

「あ、それはあるかもしれん・・・」

舞のハゲたところなんぞ想像もしたくないな・・。

舞の長い髪の毛が一夜にして消え失せたら俺はきっとリアップを勧めることもできないくらい動揺するに違いない。

「だから、ハゲたくなかったら心配はするな。わかったか?」

「わかった」

「ストレスとか、欲求不満とか、そういうものはさっさと発散するようにしろよ」

俺はわかりきったことを忠告してみる。

「今は欲求不満とか、あるか?何か欲しい物とか、やりたいこととか」

「祐一」

「・・・・・なんですと?」

「だから、祐一」

「・・・・俺?」

「欲求不満」

俺はシャーペンを落とした。別にシャーペン落としが今大流行なゲームなわけでなく、

単に驚いて落としてしまったのだ。

「好き」

舞に耳元でそんなことをささやかれてしまったもんだから、意味不明なポーズをとってしまう。

冗談かと思っても、語調からしてどうしても冗談に聞こえない。

「祐一・・・・・ね?」

ね?って、何・・?

「・・・」

俺はぁ〜、無言で、抱きしめられて・・・。(なんかちょっと情けない気もするが)

北川くん、君ならどうするんだい?

「舞、な、すううう、すうがくは・・・こんなところでその、こんなんはいかがなもんかとてなもんや?・・・」

俺自身何を言ってるかわからない。わからないうえに俺がうろたえるのをさらにあおるように

舞が俺にすりすりしちゃったりなんだりで、そのおかげで俺の本能がゴーサイン出しまくって、

今まさに俺の中の魔物が舞に襲いかかろうとしたその瞬間、

「それ、行けっ、舞、リハーサル通り、祐一さんを今日こそモノにっ!」(ドアの影から見てる)

「・・・・・・」

「祐一さん、深く考えてはいけませんっ、さあっ、ひと思いにがばっと!がばっと!」(かなり興奮してる)

なるほど、そうですか。シナリオ通りってワケですか。

全てはなにげにガッツポーズとりぎみな佐祐理さんが仕組んだことですか。

「はっ!」(隠れた)

俺はドアの影に隠れた佐祐理さんを手招きし、

「えーっと、佐祐理さん、マジでぶん殴っていいですか?」

「ふぇー、祐一さん、あと一歩いってたら佐祐理は今日友達の家にお泊まりでしたのに、残念です」(ニヤついてる)

「う・・佐祐理さん、酒くさい」

酒くさいし、頬が赤くなってる。どうやら酔ってるらしい。

「まだまだシナリオには続きがあるんですよ。どうしてくれるんですか」

「一体俺に何をさせたいんですか」

「あはは〜、祐一さんはつべこべ言わずに佐祐理の手のひらの上で踊ってりゃいいんですよ〜」(目が笑ってない)

「・・・・・」

佐祐理さんってこういうキャラだったっけ?

「その台本、見せて下さい」

俺は佐祐理さんが左手に持っていた”ミッドナイトフィーバー”という、いかがしさ爆発の

台本を奪い取り、最後の方のページを開き、読み始めた。

「ん、・・?」

 

”祐一はいやがる舞を強引に押し倒した。”

 

「ちょっと待てーい!!」

「何か脚本に疑問でも?」

「佐祐理さん自身が疑問です!!」

「ふう、お子様ですね、祐一さんは」

「・・・・・」(ストレスで胃が痛くなってきた)

 

”祐一は舞の服をこれまた強引に脱がす。”

”しかしそこで彼は驚愕する。”

”舞は男だったのだ”

→エンディングへ

 

〜祐一、3分間の沈黙。(怒りと混乱によって行動不能)〜

 

「佐祐理さん・・・・・・・」(ムカつきのあまり血の気が引いてきた)

「佐祐理ならさっき出ていった」

確かに、そこにいたはずの佐祐理さんは影も形もなかった。

「逃げられた・・・」

今度の料理当番のとき、佐祐理さんの分だけダシの効いてないみそ汁出してやる。

「・・しかし、舞。お前、女だよな?全年齢版になって”実は男である。ゲーム中の男っぷりが見物”とか変な設定加えられてないよな?!」

そんなことはないと思いつつも、舞をまじまじと見てしまう。

「さあ・・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

ぷちっ。

俺の中で何かが切れる音がした。

「ならば・・確かめてみせようホトトギス!!」(意味不明)

俺は舞を強引に押し倒した。

 

 

 

ピッ。←盗聴器の電源を切った。

「ふふっ、シナリオ通り♪祐一さん、所詮あなたは佐祐理の手のひらの上で踊っているんですよ」

佐祐理はうつむき加減で笑みを漏らした。

「今までも・・・そしてこれからも・・・ね」

佐祐理はその場を立ち去った。

 

夜風が、木々をざわめかせていた。

 

終・・・・・・

 

コメント:

つまらない。意味がわからない。話がつながってない。beatmania rare MIXが売ってない。

などなどご不満はあるでしょうが、書いてる私自身ダメさをひしひしと感じてますんで

いくら文句言ってもかまいません。やっぱり、理系の高校生じゃこの程度か・・・。

はあ・・・・・。


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