暑い日の会話ってばこんなもん

 

「おい相沢」

「なんだすか?」

「どこの言葉だ」

「母さんのいるあの場所」

「ごめん相沢」

「気にするな」

「あんた達、相変わらずテンポいいわねぇ…」

「「そうか〜?」」←ハモってる(祐一:低音、北川:高音)

「思いのままにハモることも出来るのね、あなた達は…」

香里に誉められてしまった。

「それは呆れられてるんだよ、祐一」

「真実を言うな。そして俺の心を勝手に読むな」

名雪は気付かないフリをしている俺に向かって真実をつきつけた。

せっかく昼休みにうだーっと内容のない会話を満喫しているのだ。こういうときくらい現実を忘れたいのが男心だ。(そうか?)

「それでなんか用か、北川」

俺は購買のパンを中空へと放り投げ、ジャンピングイート(空中食い)をやりながら北川に尋ねる。

「ああ、そのうっとおしいイルカ食いが終わってからでいい」

「ありがとう。…んー、はぐっ♪」

俺は北川にそう言われたのでジャンピングイート(空中食い)を続ける。

「祐一って意味のないことを極めた瞬間が一番輝いてるよね」(いい笑顔)

「相沢君のアイデンティティーみたいなものだものね♪」(いい笑顔)

「ああ、意味のないことこそ俺の生き甲斐だっ!んー、……はぐっ♪」

俺はカツサンドのキャベツを少しばらまいてしまったが、カツを食すことができたのでおおむね良しとした。

「おい相沢、お前若干バカにされてるけどいいのか?」

「名雪と香里はかわいいから許す」

「バーカ」

ばしっ。←教科書類

「……俺がバカにすると容赦ないのか、相沢…」

「男にバカにされて誰が寛容な対応するか」

北川はしょんぼりしながら机を指でくにくにやり始めた。大変わかりやすい落ち込みポーズだが、俺は食べるのに忙しいので相手にしない。

「でも今日はほんと暑いわね」

「ああ、そういやさ、この土地って毎年このくらいまで暑くなるのか?もぐもぐ」

冬に雪が積もるくらいなんだからもう少し涼しいと思っていたのだが、結構暑い。特に今日は軽く30℃を越えているようだ。

「いいえ、去年までは割と涼しくて学校にうちわを持ってくる生徒なんていなかったわよ?」

確かにうちの教室でも何人かうちわや扇子を持ってきてパタパタあおいでいるのが見受けられる。

というか香里が”しおりんうちわ”なるものを持ってきて授業中にたにた笑っているのを俺は知っている。

「きっと祐一が暑さを運んできたんだね」

一方名雪は授業中も秋子さんにつくってもらったお手製の扇子でパタパタやって、ご機嫌だ。こいつの場合、暑くても扇子があるから大丈夫だおーとか考えてるに違いない。

「暑さを運ぶ者ってなんかかっこわるいな。食パンマンを”食パンを運ぶ勇者”って言うくらいかっこわるいぞ」

「でもアンパンマンを”あんこ入りの勇者”って言う方がかっこわるいと思うわ」

「ああ、その方がかっこわるいな。さすが香里、学年一位だけある」

「…ありがとう」

とりあえずパンを食べ終わり、あとはマイルド豆乳を残すばかりとなった。ちなみに牛乳は危険なので買わないようにしている。

「しかし、ほんとこんだけ暑いと気も滅入るよなぁ」

と、これは北川の言だ。こいつもあのうざったい髪の毛をぐしゃぐしゃにしてどうにかこうにか熱を発散させようとしている。

こいつと俺はうちわも扇子も持ってきていないのだ。

「しゃーねぇ、何か気晴らしするか。なぁ相沢よ」

「これ以上晴れたらもっと暑くなるだろ」

「気が晴れても気温は上がらん」

「ああそうか」

「だから話聞け」

「そうする」

「あなた達、ほんっとに手間かからないわね」

「なんかそう言われると複雑な気分だな」

「ああ」

「それで、話とは?」

俺がそう言うと北川の目が妖しく光った。また何かどうしょもないことを思いついたらしい。

横で香里が「……ほんと手間かからないわ…」とつぶやいている。

「なんだ、今回は何をする気だ?」

当然俺もどうしょないことがどうしょもないくらい好きなので、北川に乗らない手はない。

「ちょっと耳貸せ、耳」

「おう」

俺は北川に近寄り、耳を北川の口のあたりに当てる。熱気で暑い。男の近くなんて寄るもんじゃないと思った。

「なんかまた変なこと考えてるわね」

「あの二人でどうしょもない同好会でも発足させたらいいのにね」

香里と名雪は勝手なことを言っている。こいつら俺達のことが嫌いなんじゃなかろうか。

……。

………。

「……ということだ、わかったか?」

「OK、面舵いっぱい夢いっぱいです!」(意味不明)

「何ほざいてんのかしら相沢君…」

「祐一、大丈夫?暑さにやられたの?」

「いちいちうっさいわっ!俺はこれから北川と世紀の大実験を行うんだっ!」(キレぎみ)

あ、暑さに負けてつい二人に怒鳴ってしまった。いかんいかん、俺も修行が足りないらしい。

「おい相沢、スタンバイしてくれ」

「お、おうっ。立ち位置はこの辺か?」

俺は言われて、北川の真っ正面、約3歩のところに立つ。かなり近い。そして暑い。

汗がぶわーっと出る。きっと男なんかを正視してるからだと思う。

「北川、かわいい女の子のお面かぶれ」

「バカかお前は」

「だって暑苦しいんだもん」

「腐ったこと言ってないで、早くやるぞ」

「わかった…」

俺達は名雪と香里が見守る(呆れて見てる)中、目をつぶり精神を集中しはじめた。

「よし、いくぞ」

「おう」

俺達は互いに前へ踏み出し、お互いの肩をがっしりとつかむ。

そして、

「らぁっ!!!」

「うがああ!!」

ゴギィッ!

正面から思いっきり頭突きをした。

「はぁ…おぅ」

「あふ……」

そうして俺達はふらふら〜っと倒れた。

「……何やってんの…この二人」

「……ぜ、全然わからないよ」

俺の脳内がエラーコードを返しまくっていると、香里と名雪が呆れ顔を通り越し、ちょっと警戒しながらこっちへやってきた。

クラスの他の奴らも何人かこっちを見ている。

「あなた達、一体何してるのよ…?」

「ドカーンとぶつかって人格が入れ替わるかどうかの実験」

「……」

「しかし、どうやら失敗のようだ、な」

俺の目の前には北川が変なポーズで倒れている。つまり、人格は入れ替わってないらしかった。

「い、いつつつ…、」

なんとか起きあがるとものすごい痛みが頭をかけめぐった。

「祐一、大丈夫?自業自得って言葉知ってる?」

「お前本当は俺のこと心配してないだろ」

「……あ、次の授業の用意しなきゃ」

「あ、おいコラっ!名雪っ!」

名雪は自分の席へ行ってしまった。最低だ。

「くっ、失敗かよ…命がけだったのに」

数十秒間失神していた北川も頭をおさえながら起きあがった。

「全く、あなた達どうしてそこまでアホなことやろうと思うの?」

「習慣だから」

「そういうふうにできてるから」

「なんであたしっていっつもわかりきったこと聞いちゃうのかしら…」

「香里、悲観することはないよ。祐一達だって生きてるんだから

名雪はとんでもないフォローをしやがる。

「そうね。なんか前向きな気分になれそう」

「名雪、あとで君が代熱唱の刑な」

「祐一も一緒に歌うのならいいよー」

「……」

「……相沢、お前余計なこと言わない方がいいんじゃないか?」

「…俺もそんな気がしてきた」

名雪も香里もなんかうれしいそうだった。

ひどい。

キーンコーロカーンコーロ…とんてんしゃん♪

「なんだとんてんしゃんって?!」

俺は謎のチャイム音に驚愕した。

「きっとチャイムも暑くてバカになってるのよ」

「そうだね」

反して女性二人組は全然動揺した気配すらみせない。俺達よりこいつらの方がすごいんじゃないかと思う。

「確か5時間目って自習じゃなかったか?」

北川は有益な情報を持っているらしい。

「そうなのか?じゃあもう少し語り合おうか、北川」

「おう、どうせ自習監督の先生は授業の終わりにちょっと顔出すだけだからな」

「しかし何を語る?」

「……」

さっきまで意味もなくわーわー暴れてたのに、話が一段落してしまうとこういう事態に陥ることがある。

ちょっと気まずい空気が流れるのだ。

「…仕方ない、ちょっとしたたとえ話でもしようか」

「お?どういうのだ?聞かせてくれ」

北川は特に話題もなかったらしく、俺の提案にのってくる。

俺達はとりあえず席に戻り話始めることにした。

それに従って名雪と香里も席に戻り、自分のイスを持ってきて俺らの近くにくる。

自習をやる気はないらしい。

「例えばここにいる香里が泥だらけになったらどうなると思う?」

「何よそれ、あたしが泥だらけって…」

「いや、たとえだから気にするな。それで北川、お前の意見は?」

「泥くさくなる」

北川は正しくもストレートすぎる意見を述べた。

「ああそうだな。香里、何か反論は?」

「するまでもないわ」

がこっ。

香里は持っていた(すでに用意していた)定規の角で北川をどついた。

「ごめんなさい…美坂」

「そうね、あたしが泥くさくなるわけないわよね?」

「もちろんです♪」

北川はかなりいい笑顔で返事をした。

「祐一、北川君が香里に意識を取り込まれかけてるよ」

「別にいいんじゃないか?もともと空っぽだし」

あいつは取り込まれて困るような思考を最初から持ち合わせてない。

「さて、それじゃたとえ話その2でもやろうか」

俺は北川と香里のやりとりが終わるのを見計らってまた話し出した。

「たとえば、そこにいる名雪が米俵に入っていたら?」

「祐一、私は米俵より酒樽の方がいいよ〜」

「お前の反論、ずれてると思うぞ。よって無視。で、北川の意見は」

「精米の時点で気がつく」

北川はまたストレートすぎる意見を述べた。やはり暑いと気の利いたことが思いつかないのか?

「不正解。正解は米俵に名雪が入ってたら重くてお百姓さんが運べないでした」

がつ。

「何しやがる、名雪」

名雪はこともあろうか、すねをけってきた。名雪の強められた脚力により、かなり痛い。

「私はそんなに重くないよー」

「俺の知ったことか。きっと重いに違いないと思っただけだ」

「……あ、祐一。もう一回ジャンピングイート(空中食い)みたいなぁ♪」

突然名雪が話題を変えてきた。一体なんだ?

「おう、俺の得意技を見たいのか。パンはどこだ?」

もうパンはとうに食べ終えて、残っていない。

「えーっと、パンがないから私のパンツでいい?」

名雪はとんでもないことを言い出し、バッグから何やらごそごそと取り出した。

そして北川と香里も名雪の言動に驚きを通り越してひきつっている。

さらにクラスの前の方の席の男子は後ろを見たくて仕方ないという挙動不審さ満載なのがうかがえた。

「っ何?!当然だっ!さあ来い!」←大興奮

俺の理性はふっとんだ。

「こっちこっち、もっとこっち来て…、はい。いくよー、そーれ♪」

ぱっ。

「んー、ぱくっ♪……って、パンツじゃなくて扇子じゃねぇかあああ!!!」

「パンツとセンスでかけたんだよ」

「全然かけられてねぇだろっ!お前ギャグセンスなさすぎ」

「しかもベランダ飛び越えてるよ」

「はっ?……おぅわあああああああ!!!!!」

「天罰だおー」

 

さようなら、みんな。

 

終わり

 

コメント:

どうも、毎度おなじみ音速秘書です。

えーっと、題名通り、夏の日の会話です。暑くて自分で何言ってんだかわかんなくなるような、アレです。

なので適当に読んでくれればいいです。あまり深い考察などなされぬよう。

私自身暑い中書いたのでワケわからないです。あっはっは。

祐一君はベランダからおっこちて死んじゃいました。

よって次回からは北川くんが主人公です。

ウソ。

と、まあよくわからないところで、また今度。


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