舞先輩、主に遊び道具で暇つぶし

 


「What's your name?」

俺はネイティブな発音でそれだけを名雪に言い残して夜の学校へ赴く。

すると気をつけの姿勢で立っている舞がいた。

「何やってんだ、舞」

「…………」

答えが返ってこない。

「どうしたんだ?」

「………」

やはり返答なし。

そこで俺は舞の周りをぐるーりとまわってみてある一つの変化に気付いた。

背中にゼンマイがついている。

俺は早速巻いてみた。

「ぎょりぎょりぎょりぎょり」

効果音はさすがに出ないので自分で言わねばならないのが難点だ。

そして巻き終わると、

「……」

がしょ、がしょ、がしょ、がしょ。

舞はそれっぽい歩きで進み始めた、が、

べち。ぱたり。

「あっ……」

どうやら方向転換ができない型らしく、壁にぶつかり倒れてしまった。

「ごめん、舞。次はちゃんと方向考えてやるから」

「……」

舞を起きあがらせ、再びネジを巻き始めた。

その日、舞は終始無言だったが、それでいいと思った。


「徹バカ」

俺は北川とオールナイトで無駄なことをやった。

朝になってしまった。

自分の考えの浅はかさに嫌悪した。


「徹寝」

「矛盾してるよー」

自分でコメントする間もなく名雪につっこまれた。

ちょっとブルー。


「秋子さん、いろんな種類のカレーを食卓に並べるのはいいです。俺、カレー好きですからもちろんうれしいです。でもその中に紛れて湯気の立つほかほかのジャムを並べないでください。あと、そのジャムの付近に乾燥剤がいっぱい置いてあるのはなんでですか?水分が多いと危ないんですか?

俺は秋子さんが『いいところに気がつきましたね』とにこやかに言うと同時に家を逃げ出して夜の学校へ赴く。

すると自分の前に謎の2ボタンコントローラーを置き、たちつくしている舞がいた。

「何やってんだ、舞」

「舞ちゃんキャッチャー」

よく見れば周囲にはぬいぐるみやらKanonTCGカードやらがちらばっている。

俺は夜食のおでんからまずちくわを舞に食べさせた。

「……1クレジット」

一回できるということらしい。

まず、1つ目のボタンを押す。

すた…すた…すた…すた…。

舞は俺から向かって右側にゆっくり歩き、ボタンを離すと同時に止まった。

2つ目のボタンを押す。

すた…すた……。

正面へ歩き、ボタンを離すと、しゃがんで何の動物だかよくわからないぬいぐるみを……。

「あ…」

ぽてっ。

落としてしまった。

舞は心なしかしょんぼりして定位置に戻ってきた。

「ちくしょう…。舞っ、まだだ!もっとやるぞ!」

俺は江戸前はんぺんを食べさせる。

もくもくもく……ごくん。

「2クレジット」

どうやらおいしさで回数が変わる仕組みらしかった。

俺はその日、おでんが尽きるまで夢中でやった。

よくわからない動物のぬいぐるみを手にいれることが出来た。

とっても楽しかった。


「専売特許だベベンベン♪ヘイ!」

俺は即興でつくった曲で週間ヒットチャート一位をねらいながら夜の学校へ赴く。

すると、こんなにもハイテンションな俺と対照的にあごに手をあてて何やら考え事をしているふうな舞がいた。

「何やってんだ、舞」

「軍師……。私は天下をとるものだから

ずいぶんでっかい野望だな…。

「祐一、敵軍の将」

「…ああ、わかった」

俺は敵軍の将となった。

「ふふ……舞軍、我が策に落ちたり!城は包囲した!」

俺は舞から少し離れた位置から敵将を演じる。

「……」

軍師舞は何も言わない。

「しかし本当の策はこれからだ!」

「……?」

俺はうつむき加減で含み笑いを漏らし、そして正面を向いて目を見開いた。

「舞、お前達はこの城から出られず兵糧攻めにあって飢え死ぬのだ!」

「……!!」

舞軍師の策によるものすごい反撃に遭い、我が軍は壊滅させられた。

兵糧(焼きおにぎり)も全て奪われた。

……無念。


「ほいーん」←祐一

「ほいーん」←舞


「かすかな記憶が俺に何かを問いかける……」

俺は7年前に行ったギョーザ専門店がいかにニンニクたっぷりのギョーザを提供していたかを思いだし、ついつい買ったコンビニギョーザに”お前はそれでギョーザのつもりか?!”と激昂しながら夜の学校へ赴く。

すると5個くらい重ねられたカラフルな円柱形のスポンジみたいなのに座っている舞がいた。

「舞、何やってんだ?」

「舞落とし」

なるほど隣には大きめハンマーが置いてある。これでたたけということらしい。

「よしっ、行くぞーー!」

俺はハンマーを持ち、思いっきり振りかぶって……

すこーーーん。

下から3番目の赤スポンジが勢いよくすっ飛ぶ。

べしっ。

なんだか魔物にヒットしたような感じもしたが、きっと気のせいだ。なんといっても今は暇なのだから。

「……」

すとん。

舞はスポンジから落ちず、これで残りは4個となった。

「ところで舞、これ成功したら何かもらえたりするのか?」

すると舞は無表情で、しかし俺を真正面から見据えて答える。

「成功したら、エンディングだから……」

「……!」

これは遊びじゃない。

「わかった……」

俺は精神を集中しはじめた。

後4個、後4個で、エンディングだ……。

「って、んなワケねーだろ!」

すこーーーん。

俺はつっこみの代わりにハンマーでスポンジをすっとばした。

「ナイスつっこみ、祐一」

舞はやはり無表情なまま右親指を立て、グッ、とやった。

「それじゃあ、後3個だから……」

「おう、舞も落ちるなよ」

俺は再びふりかぶり、3つ目のスポンジを落としにかかった…………。


 

コメント:

やはりというか当然というか、音速秘書です。

なんやら最近掲示板に書き込む暇すらなくなってきたワケですが、こっちはどうにかこうにかなりました。

まぁ、内容はともかく。

しかし私もセンター試験まであと2ヶ月。

こんなことやってて大丈夫なんですかね……。

ああ、誰か数学の計算ミスをなくす方法教えてくださいぃぃぃぃ……。

といったところでまた今度。

音速秘書でした。


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