イベントその1 〜芹香お嬢とツーショットダイヤルに電話して〜

 

今日は日曜日最後の日。

言ってる自分で意味がわからないが、俺の休日は本番(ゲームの主人公として活躍中)同様、実に暇である。

雅史は「ボールは友達!」とか言って部活やってるし、あかりはきっと勉強してるだろうから

電話なんかしたら勉強につきあわされそうだ。もちろん志保は論外、秋子さん・・・いや、

ゴホンゴホン・・違うゲームが混ざってしまったようだな。

とにかく俺は暇だ。それは揺るぎない事実だ。本番みたく都合良くイベントも発生しない。

仕方なく俺はイベントを発生させることにした。

 

んー・・・・、それじゃあ題名通り、芹香お嬢様に電話でもしてみるか。

えーっと、

ぴっぽっぱっぽっぺぺぺぽっ。

どの番号を押したか知らんが、きっと主人公という立場上これでつながるはずだ。

プルルルル・・プルルルルル・・。ガチョ。

「ヘイ、こちらDJ田中!」

ガチャン。

主人公だからって甘えるなってことですか・・・。

俺は電話帳で来栖川家の電話番号を調べた。珍しい名前だから名字がだぶっていることもない。

再度、確認しながら電話をかける。

プルルルルル・・プルルルルル・・・。

「こちら来栖川」

この声はじーさんだ。ちゃんと執事してるんだな、あのアホじーさんも。

「あっ、俺、藤田ってもんだけど」

「なぬうううう!!小僧かあああ!!来栖川家に電話するとは、電話が汚れるわあああ!!」

「あっそ、ちゃんと消毒しとけよ」

「ふぬうううう・・・相変わらずムカつく小僧め・・・、芹香お嬢様が狙いか、綾香お嬢様が狙いかあああああ!!!!」

じーさんこそ相変わらず声でかいってよ。

「テンション高ーな、じーさん。頭の血管切れるぜ?」

「うるさいっ!お嬢様達は忙しいんだ!下賤な輩につきあってる暇などなきにしもあらず!!」

「なにげに『少しならあります』ってアピールしてねーか?」

執事って勢いだけでやってけるのかねぇ?

「じゃかあしいっ!愚民どもは普段通りラーメンスープに顔をつっこんどりゃいいんじゃ!!」

「いくら愚民でもそんな意味不明なことしてる奴いねぇよ・・」

なんかじーさんって、世間を勘違いしてるんじゃないかなぁ・・・。

「ところで芹香いない?」

俺はわざと呼び捨てで言った。ほんとは滅多にそんなことしないんだけど。

「せ・・芹香あぁぁ?!小僧・・お嬢様を呼び捨てとは・・いいか・・耳かっぽじって聞け・・」

「ハイハイ」

俺は耳をふさいだ。

「喝ーーーーーーーーーーー!!!!!」

やれやれ、わかりやすい忠告ご苦労さん。もうじーさんのパターンは読めたぜ、あっはっは。

「そんで?芹香は?」

「き・・貴様・・・、あ、芹香お嬢様。・・いえ、ただの干物売りでございます」

電話で干物売る奴なんかいねぇって・・。実はじーさん、頭悪いな。

っと、そんなことより芹香先輩がいるみたいだ、呼んでみるか。

「先輩ー!せーりかせーんぱーい、俺、俺〜浩之だよ〜」

「こ、こら、干物売りっ!何をワケのわからん・・・ほ、ほごぁっ?!」

”ずううぅん・・・”

電話ごしに、じーさんの変な叫び声と倒れる音が聞こえてきた。

数秒の間があってのち、

「・・・・・・」

「・・・え?オッスオラ芹香?先輩、今日のノリ変ですねぇ」

「・・・・・」

「え?何かご用ですか?いや、まぁそれよりセバスチャンはどうしたんだ?」

「・・・・・」

「秘孔をついた?北斗神拳を綾香に教わったって?・・・・・」

芹香、だまされてますよ。

綾香のことだ。北斗の拳とかそのたぐいのものをよく読むのだろう。そんで何も知らない先輩に、

ただの突きを『これは北斗七死星点よ』とか教えているに違いない。

「つーかそれ以前に先輩、腕力ないでしょ?ウソは・・え?薬で一時的に増幅?・・・・・」

また怪しい薬を・・・。お嬢様だからお稽古とか忙しいのかと思いきや、趣味の世界を広げてらっしゃる・・。

「・・・・」

「それで、ご用は何ですか?ああ、いや、特に用ってのは・・・。先輩の、いや、芹香の声が聞きたかったからかな」

俺はちょっと低めの声で言ってみた。が、言ってて・・・すげぇ恥ずかしい上にアホっぽい・・。

「・・え?今の録音しました?・・・ソッコー消しなさいっ!!!」

「・・・・」

カチャカチャ・・。

ダビングしました、クックック?・・嫌ー!!心なしか人格壊れてるしー!!」

最悪だ・・。先輩に恥ずかしい声を記録されてしまった・・。

「え?ってのは冗談ですけど?・・良かった、泣くかと思ったぜ・・」

「・・・・」

「やっぱり録音しとけばよかった?・・だから本当に・・・、え?泣いたら泣きやむまでなでなでしてあげようと思った?」

俺はちょっと考えた。

「Take2スタンバイ!!」←恥捨てた。

と、俺は煩悩まみれモードでリテイクをしようと試みたのだが、

「『あら珍しい。姉さんが電話なんて。相手は誰?・・・・え?浩之?』」

綾香らしき声が聞こえてくる。

「久しぶりね、浩之。姉さんに電話する男なんて初めてよ」

と、先輩から電話を奪い、綾香が話しかけてくる。先輩とはうってかわってはきはきとした語調だ。

「久しぶり、って、それより綾香、そこにじーさんが倒れてっけどいいのか?」

「何それ。やーね、どこにもいないわよ?」

いないって・・・どゆこと・・?消した・・・?

背中に悪寒が走り、思わず後ろに誰かいないか、振り向いてしまう。

・・・誰もいない。

「あ、今度ウチくる?・・・って言いたいんだけど家の者がうるさくってさ。姉さんも時々『浩之さんを召喚したい』って言うんだけどねぇ」

先輩・・・俺を普通に招待する気はないのか?

「っと、ゴメン。姉さんが怒ってるからまた今度、・・・はい姉さん」

そう言って綾香はどこかへ行ってしまったようだ。ま、どーせ格闘だろうな。

たまには葵ちゃんの練習でもつきあってやりゃ、葵ちゃんも励みになるんだろうに。

「・・・・」

「人の電話とるなんてひどい?ハハ、綾香に言ってもムダだって。それにあいつだって悪気あってのことじゃないだろ」

「・・・・・」

「あ、そーいや先輩は時間あるの?俺、突然電話しちまったけど」

もともと俺が勝手にイベントを起こそうとしただけなので、なるべく先輩の予定を狂わせたくない。

「・・・・・」

「え?今日は暇です?そうか、そりゃ良かった」

と、言った直後。

ぐうぅぅぅ・・・・。

腹が鳴る。居間をのぞいて、時計を見ると、3時。昼飯、おにぎり2個だけだったからなぁ。

・・・・!

「そうだっ!芹香先輩、前に下賤な輩の食べ物を食べさせるって言ったよな?」

本番(ゲームの主人公として活躍)中にそんな選択肢があったはずだ。

俺はそれを不意に思い出した。

「じゃあこれから学校これる?俺が下賤な輩の食べ物食べさせてやるよ。ええ、少しだから夕飯には差し支えないって」

こうして、俺はイベントを起こすことに成功したのだった。

 

 

俺は早速出掛ける用意をする。

食べ物はコンビニで買うとして・・・。そうそう、目薬目薬・・。

くくっ・・これで泣けば先輩のなでなでが・・・。

俺は途中でカップラーメン、季節的にギリギリの肉まん、などなどを買ってみた。

 

「あっはは〜、ははは〜、せんぱ〜いせんぱ〜い、よよよ〜」

なぜか道行く人々は俺を避けるようにして歩いていた。

「あっはっは〜、せ〜りか〜、上からよんでもくるすがわ〜、下からよんだら・・・わがするく?」

依然として人々は俺を避ける。ガキンチョが俺を指さしている気もする。なぜだろう。

三歩進んで一歩さがるという行動を繰り返しているうちに学校へと着いた。

グラウンドの方からは野球部のかけ声らしきものが聞こえてくる。

かこーん。

きっとボールを打った音だろう。なかなかいい音してるじゃねーか。

俺はそんなことを考えつつもクラブハウス前までほとんど空中を滑るようにして向かった。

芹香先輩は・・・まだいない。

そりゃまあ、あっちは外出するのも一苦労なんだろうな。

俺は先輩が来るまでいろんな期待に胸ふくらませたり、腹式呼吸で腹ふくらませたりしていた。

 

クラブハウスの方に来たことでさらに野球部の声が近くに聞こえる。

「ホイー」とか「ばいーん」とか、「ばいーん」はウソだが、そんな感じのよーわからん

かけ声が響いてくる。たまには趣向を変えて

監督「行くぞぉぉ!!」

部員一同「なまむぎなまごめなまたまごぉぉ!!」←かけ声らしい

かこーん。←ノック

とか、

他にも集合するときだって、

監督「八時だよ!!」

部員一同「全員集合ぉぉぉぉ!!」

とか、やってくれればこっちも野球に親しみを持てるだろうに。

などと極限までどうでもいいことを考えていたが、先輩はまだこない。

俺にもっとくだらないことを考えていろということなのか。ならば考えるしかあるまい。

それじゃあ、部活が終わるときの明日の部活の連絡など・・・、

監督「明日も来てくれるかな?」

部員一同「いいともーーー!!!」

監督「解散」

な・・・・なんて楽しそうな野球部なんだ!!←大バカ

思わずメジャーを目指したくなったぜ・・。

 

・・・しっかし先輩遅いな。いくら俺でもこれ以上小ネタを続けてると読者がキレるぞ。

はぁ、とため息をついて壁によりかかると、コンクリ特有のひんやり感が伝わる。

真夏なら気持ちいいんだろうが、まだ春だし、今日は特別暖かい日ということでもないので

結局よりかかるのをやめた。

・・・今の俺ってすごく間抜けなんだろうな。ビニール袋もってぼへーっと立ちつくして。

こういうのって先輩がやった方がサマになりそうだよな。

ある日の放課後にクラブハウス前に行くと、先輩がビニール袋持ってぽーっと立ってて、

俺「先輩?何やってるんですか?」

芹香先輩「・・・・・買い物帰りのオバサン風芹香」

俺「・・・・・・」

・・・・・やめといた方がよさそうだ。先輩ってボケの感覚とかズレてる気がするし。

多分、ボケたところで俺はどのへんをつっこめばいいのかわからないまま無情な時を過ごすことになりそうだ。

「先輩・・・俺には先輩が理解できない・・・え?そうですか・・・?うん、どーしょもないと思う」

すたすたすたすた・・・・・。←遠ざかる足音

「・・・先輩まだかな?」

そういえばさっき俺に話しかけたの、誰だったんだろう。

・・・・・・・・・・。

てへっ。←気付いた

「せんぱーい!!帰らないでぇぇぇぇーーーー!!」

俺は視界から消えかかっていた芹香先輩を追いかけた。

「って、おわっ!!」

ずたーん。

よくわからないが、とりあえず俺はこけてしまったらしい。・・・トラップか?

”小僧、命が惜しくば今すぐにお嬢様、来栖川に謝ってここを立ち去れ by セバトラップ仮面”

そう書かれた紙が俺の目の前に落ちてきた。

あの肉体派じじいか・・・・。

大体自分の正体がバレないようにしようったって”お嬢様”の部分と”セバ”の部分が

完全に消えてない、という手落ちだらけの状態だ。やっぱりあのじーさんアホだな。

と、半ば呆れていると俺がすっこけた音に気付いたのか、先輩が戻ってきてくれた。

「・・・・・」

「え?大丈夫ですか?ああ大丈夫、先輩帰っちゃうからびっくりしたよ」

「・・・・・」

「え?理解できないとか言われてショックでした?ごめん、あんときはちょいと考え事で」

俺は服のほこりを払って落としたビニール袋を拾い直す。

そして先輩の方に向き直ると、

「先輩、なんで制服なの?」

せっかく先輩の私服を見られると思ったんだけどな。

「・・・・」

「え?校則は守らないと?それって俺に退学しろって言ってるようなもんだな・・」

こくこく。

「先輩って割と俺の存在に否定的だな」

ふるふる。

「まあ、いいですけど・・。とりあえず部室入るんでしょ?」

その”ふるふる”のときに髪がさらさらと宙を舞うもんだから、なんかきれいだなぁ、とか、

思わず気をそがれる。弱い俺。

「・・・・・」

がちゃ。

先輩がドアを見つめると自動でドアが開く。どうやらまた新しい芸当を身につけたらしい。

「え?このロック方式なら許可なくここに入れません?・・まあ最初っから誰も入らないと思うけど。こんな怪しげなところ

と俺はきょろきょろと警戒しつつ部室に入る。

「・・・・kw・・・・lau・・・・hgb・・・」←小声

がしゅっ。

「痛ぁぁっ!!何だ今の?!先輩、俺何かに食われた!!」

「・・・・・」

「え?気のせいです?・・・・っていうか明らかに手首から多量に出血してるんだけど・・」

「・・・・・」

うだうだ言ってると呪い殺す?先輩、そうやって意味もなく壊れると面白みがなくなるからやめたほうがいいって」

俺はパロディだからと言って無駄に壊れキャラになろうとしてる先輩を諭した。

「先輩は気にしなくていいよ。全体的に歪んでりゃ成立するんだから」

こくこく。

どうやら理解してくれたようだ。ものわかりのいいお嬢様で助かる。

「・・・bv・・・lik・・nsw・・kll・・・・」←なんか唱えてる

・・・・・えーっと、本当にわかってくれたのかな?

ぐぉん。

「おぅわっ!って実際に空間を歪ますなっ!!」

「・・・・・」

ぐ・・・ん。←戻した

「はぁ・・・・先輩、次に余計なことしたら魔女帽子、ダンディさ満点のシルクハットにすり替えますからね。わかりました?」

「・・・・」

こくこくこくこくこく。

先輩はがしっと帽子を抑えて涙目でうなずく。どうやら今度はわかってくれたようだ。

「さて、と」

ビニール袋を床に置いて、椅子に座る。先輩はろうそくに火をともし、ドアを閉めた。

ドアを閉める瞬間、空気の流れを感じる。

・・いつ来てもヤバそうな雰囲気がびりびりしてるよな。

間違って怪しい電波とかとんでこねぇかな・・?そーいや祐介(雫の主人公)は元気かな・・・?

リーフファイト97以来あいつには会ってないが、きっとちりちりした毎日(どんな毎日や)を送っているんだろうな。

瑠璃子ちゃん、だったっけ、ちょっとヤバそうな目してたのって。

と、閑話休題、芹香先輩はいつもの帽子とマントを身にまとっている。

今日は儀式でもないのだが。オカルト研究会のユニホームみたいなもんなのかね?

先輩はユニホーム(?)を着終えると俺の前に立った。

ろうそくのあかりが先輩の横顔を微妙に照らし出す。

「・・・・・」

「え?何かついてますか?っ、いや何にも・・。それより食べ物なっ」

不覚にも一瞬ぼへーっとしてしまった・・。

「まずは肉まん!・・え?食べたことあります?・・・あ、そうか本格中華のコースとかでも出るんだよな・・」

いきなり食べたことがあるものだったとは、考えが浅かった。

と悔やんでいると先輩は俺の手から肉まんを取り、

パク、もくもく、コクン。

食ってくれた。←なんかうれしい

「え?おいしい?・・マジで?!あ、じゃあ次ポテトチップス!え?食べたことない?よし、どうぞどうぞ」

俺はうれしくなって袋を勢いよく開けすぎた。

つまり、

「・・・・・・死者、多数」

ってなワケだ。

それでも先輩は袋に手を入れ、

ぱりぱりぱり、こくん。

生き残りも先輩に食ってもらえるなんて幸せだろう。俺もポテチになりたい。

「え?こんなの初めてです?そうか〜、そりゃ良かったな〜」

なんか俺の自己満足が混ざってるような部分もあったが、ますます先輩に親しみが湧いてくる。

「次はあんぱん!!あっちのアンパンじゃないぞ!」

「・・・・・」←当然わかってない

ぱく、もくもくもく、こくん。

「え?甘さ控えめなところがいいです?ああ、そーいや最近のあんぱんって甘くないよな」

俺はあんぱんよりカツサンド派なのでよくわからない。

「よし、それじゃあ次はカップラーメンだ!!」

お湯ねぇし。←手落ち発覚

「先輩、食堂行こうぜ」

「・・・・・」

「お湯がないと食べられないんだ、これ」

ふーん、といったような顔をしている。そんな近くに寄って見たってこんな薄暗いところじゃ見えないだろうに。

俺はカップラーメンと箸を持って部室を出た。先輩も後ろからぼーっとついてくる。

ちなみに帽子とマントは着たままである。単にこの格好が好きなんだな。

 

「おっ、雅史?部活かよ」

偶然、途中で雅史に出会った。手に紙コップを持ってるところを見ると休憩中のようだ。

サッカーのユニホームで、額からは青春の汗というものが流れている。

「浩之こそ何してるの?」

当然の質問だった。

「部活ナリよ」

「へぇぇ・・部活・・・。ってそっちの人来栖川先輩?!」

雅史は後ろでぼーっとついてきている先輩をみて俺に耳打ちしてきた。

「同じ部活なんだよ。お前も練習中だろ?」

「うん。ボールは友達!」

芹香先輩が雅史につられて「幽霊も友達!」とか言うかと期待したが、相変わらずぼーっとしていた。

 

1:「頑張れよ」と言ってその場を去る。

2:芹香先輩より雅史の方が大切なので雅史と遊園地へ出掛ける

 

俺は迷わず1を選んだ。

「頑張れよ」

特に用のないやつには義務的な言葉をかけてさっさと追い払う。to heartの鉄則だ。

「ああ、浩之も頑張ってね。・・・先輩と、夜の部活動」(ニヤリ)

 

1:あまりにも品のない雅史を抹殺

2:所詮二次創作だし特に規制を加えることもないだろうと思うので許す

3:ヨークにお願い(痕より)

 

2だ。別に今から雅史を抹殺しても俺の履歴書が薄汚れるだけだ。何のメリットもない。

俺は雅史を無罪放免にしてやることにした。

「先輩の前じゃ暴力はふるえないよねぇ。クックック」

ドバキッ。←暴力

「じゃあな雅史。部活頑張れよ」

俺は自己流パンチでふっとんだ雅史を後目に食堂へと向かった。

しかしあいつってああいうキャラだったか・・?

それに、さっきの選択肢の3って、俺出来ないじゃん・・・。

 

食堂は当然のごとく誰もいなかった。普段あれだけにぎやかな場所がこれだけ静まりかえっていると違和感を覚えそうだ。

「さて、お湯・・お湯・・」

相変わらず先輩は無言のままついてきている。

「あ、お湯切れ・・」

名前はしらんが、”水・お湯・お茶が無料で出てくるあの機械”はお湯切れのランプが点滅していた。

「・・・しゃーねぇ、わかすか」

やかんをみつけ、水を入れて火にかける。ガスコンロはでっかいやつと家庭用のやつがあった。

もちろん、俺が使うのはでっかいやつだ。でっかいことはいいことだ。

待ち時間は暇なのでそんな一連の動作をただなんとなく見ていただけの芹香お嬢様に一つ問題を出してみた。

「先輩、コンロの使い方わかりますか〜?」

お嬢様でも、もしこれが綾香ならばその程度難なくこなしただろう。しかし姉はどうか。

「・・・・・」

「・・・・・・」

少し警戒しながら一通り観察したあと、

「・・・・・・」

おもむろにコンロへ手をかざし、

「・・・・qoh・・・y2k・・lzh・・・」

なんか聞いたことあるような単語になってる気もするが・・・これって・・・。

ゴワッ!!

「おぅわっっっっ!!!」

全てのコンロから炎が立ちのぼった。

「・・・・・・」

「これでよろしいですか?って良かないわ!この魔女っ娘!!」

まさか火をおこす黒魔術を使うとは・・・・。これじゃ一生庶民の暮らしできねぇな・・・。

ううむ、先輩怒らせたら燃やされちゃうかも・・。

火を消しながらそんなことを考える。

見ると、先輩はちょっとばつが悪そうにしていた。

 

ピーヒョロロー♪

という音と同時に先輩がびくっとして後ずさる。

この人、お湯がわくと音がするやかんも知らないのね。

「先輩、お湯わいただけだって」

俺はカップラーメンにお湯を注ぎ、食堂のテーブルにおいた。

びりびり。ぱきっ、ばきっ、がりがりがり。ぱく、ごりごりごり、こくん。

「おいしくないです?・・はい先輩、説明ちゃんと読んで下さいね」

疲れた・・・。

 

−3分後

「よし、もういいだろ。どーぞ」

なんとか封をしたフタを再びはがすと、先輩は3分前とは全く違う麺の状態に驚いたようだった。

ちるちるちるー、もくもくもく、こくん。

「とてもおいしいです?他にはないんですか?・・んー、今日はこれしかないんだ。また今度な」

先輩は「そうですか」と言い、またちるちると食べはじめた。

あ、うまそう・・・・。

俺の分、金が足りなくて買えなかったんだよなぁ・・・。

と思っていると、多分俺は非常に食べたそうな表情をしていたんだろう、

「え?食べますか?・・・・あっ、ああ、食べる。いや食べさせていただきますっ!!」

はしは二繕分あったので(ちっ)、それを使う。

先輩は俺の方へカップラーメンをよこしてくれた。

ちるちるちる〜。

「はぁ〜、芹香エキス・・・じゃねぇ、カップラーメンってやっぱおいしいよなぁ」

あと少しだけ。

「って、あっ!」

カタッ。←倒れた。

てーーーーーーーーー。←汁がこぼれてる

「・・・・・・」

「変わった食べ方ですね?・・って見ればわかるでしょ!こぼしただけだって!」

芹香エキスはテーブルいっぱいに広がった・・。

 

意気消沈のまま掃除をして、部室へと戻った。

はぁ、先輩もほとんど食べてなかったのに、悪いことしちゃったな。

だが、ここで終わりにするとなんかヤな気分なのでテンションをあげることにする。

「・・・さて、最後はのどかわいたでしょうから、豆乳!」

右手にパックの豆乳を持つと、パックはろうそくに照らされて微妙な色合いになる。

と、色合いなんぞどうでもいいので、ストローを取り出してパックの飲み口にさして渡す。

「・・・・・」

ちううぅぅーーーーーーーーーーーー

「あの、先輩?」

うううぅぅぅぅーーーーー・・・ぅ・・・

「・・・・ふはぁ」

「え?のどかわいてた?それなら先に言ってくれればよかったのに」

俺が持ってきた順番を守ろうと思っていたのだろうか。

もし俺が飲み物もってこなかったらどうするつもりだったんだ?

「さて、今日はこれで全部かな。先輩、楽しかった?」

”おいしかったか?”とは聞かない。んなモン、普段食べてる物に勝てるわけないからだ。

「・・・・・・」

先輩は何も答えず(別に小声すぎて聞こえなかったのではない)少し恥ずかしそうに

俺を手招きした。

「ん?何?」

ずずずっと遠慮なく近寄る俺。

すると、

「・・・・・・」

なでなで。

「ふっ、ふはっ?!・・・え?とても楽しかったです?・・・そ、そうか・・そりゃ、良かった・・」

なでなでなで。

ヤバイ・・体中の力が抜ける・・・。

なでなで。

「ごめん、力が・・抜けて・・・いや、アンパンマンじゃなくて・・

もういいや・・・。

俺は先輩に体を預けた。・・・って普通逆じゃねぇか・・?

などと考えている間も、

なでなで。

・・・・・・・(至福)

なでなで。

・・・・・・・(感無量)

なでなで。

・・・・・・・(失神)

なでなで。

・・・・・・・(幽体離脱)

なでなで。

・・・・・・・。

 

・・・・・・・・、なんかさっき知らないところをフワフワ浮いていたような気がしたが・・・?

なでなで。

・・・・・・・・、いやしかしなでなでされるのもアレだけど(アレってなんや)、その他にも

先輩の胸に顔うずめちゃって気持ちいいし、ちょっとラーメンが混ざってるけどいい匂いするし・・。

でも先輩に寄りかかっちゃって、先輩辛くねぇかな・・。

「・・・・・・」

「え?今日はありがとうございました?って、大げさだなぁ、休みだったから遊んだだけだろ」

俺は顔をあげた。同時に先輩の手もとまる。

「っつーかこっちこそなでなでされて、もう理性がふっとんじゃいそうなくらい気持ちよかったから・・」

いや、事実ふっとんだ。

「え?簡単なお礼ですみません?いやいやいや、また今度ぜひっ!」

・・・ちょっと笑われた気がした。

 

外に出るとじーさんが待ち受けていて、俺を見るなり舌打ちしやがった。

でも、先輩のことを考えるとじーさんなんぞどうでもいい存在に思えたので

笑顔で挨拶してやった。

先輩はとーぜんそのリムジンで帰っていった。

「はぅ、先輩のなでなで、さいこーっすぅ」

帰る途中、そんなことを幾度と無くつぶやいた気がする。

 

−次の日

俺はすでに雅史とパンを食べ終え、中庭に出てきてみた。(必須イベント)

「あっ、先輩、今から昼飯?って・・これは・・」

「・・・・・・」

「え?セバスチャンに頼んだ・・・?」

カップラーメンとポテチと豆乳をですか・・・。

「・・・・・・」

「え?庶民派お嬢様芹香参上?・・・・・」

ちるちる〜、パリパリ、ちぅーー。

「・・・・・・」

 

ここで簡単に今回のまとめを述べたいと思う。

イベント失敗。

 

終わり

 

コメント:

まず、to heartをやり終えていないにも関わらずSS書き出すなんて、愚行にもほどがありますね。

まあ、まだ途中までしかやってないんでなんとも言えないですけど、今のところ芹香先輩が一番かな。うん。

それと、主人公の名前はデフォルトで”藤田浩之”ですが、なるべく名前からくる

先入観ってのをなくしたいので、私は”御影石 幻明”って名前にしてあります。

ほら、これなら日本中探したっていない!!

だからなんだと言われたら困るんでそのへんはつっこまないでください。

それでは。


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